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★ 篠塚澄子さんと行ったイタリア・ギリシャツアー 

 
   
 
2002年3月13日 澄子さんと行ったイタリア・ギリシャの旅
 
ナポリでは、普通のお宅におじゃまして
お料理を教えていただきました。
〜8、ツアー2日目 ナポリの青い空とレモンの香り
 
  爽やかな顔をして、朝その子さんがホテルのロビーに現われた。 朝8時半にホテルをチェックアウトして、市内観光の目玉ドゥオーモに向う。きょうは、きのうの朝とは まったく違う空気がバス全体に漂う。一体感を感じるのだ。街の中心でバスを降りる。午前中はドゥオーモとスパッカナポリを縦断し、お昼からはナポリ在住のお金持ちのシニョーラ(女性)の山の手の家を訪問してイタリア家庭料理を教えてもらい、作った料理を昼食で食べるという予定となっている。午後4時には水中翼船でカプリ島に着く予定でした。

  バスの運転手さんは、きのうの若い男性ではなく中年のバス会社の社長さんが来てくれた。 ホテルからバスが石畳の上を走り出すと「ほらね。この人の運転はぜんぜんガクガクしないでしょう?」と 澄子さんが云われる。本当だった。バスは街の中心の教会ドゥオーモの前で停まった。この教会はナポリの守護聖人サン・ジェンナーロがまつられている、ナポリッ子の信仰のよりどころだとか。礼拝堂に保存されている聖人の血が年2回液化する 奇跡でイタリア中でも有名な教会である。大理石の乳白色の立派な建物。ドアを入ると、広くて高い天井が広がり冷気が立ちこめて薄暗い。外の明るさから重々しいドアを抜け、中に入った瞬間から何処となく別世界を思わせる厳かな雰囲気がそこにはある。ステンドグラスからさし込む外の明るさが、色とりどりに還元され教会内のムードをかもし出す。ひそひそと話すイタリア語が高い天井まで小さく響いて消えて行く音。お祈りをする人のうつむいた静かな横顔。そこはナポリの中で一番神様に近い場所のようだ。
礼拝堂で椅子に座り、みんなそれぞれ祈るときを持った。静寂で厳かなひととき、自分だけの時間が流れた。 地下にあるサン・ジェンナーロの霊廟などを見学してから、再び外界に出た。

  今日も青空が広がり太陽がキラキラしている。車のクラクションの音もにぎやかい。
さあ、スパッカ・ナポリを歩く。さっきの教会とはまるで正反対の、ひとの生活の匂いの中へ。
スパッカ・ナポリは古いナポリ情趣の残る界隈で、細い路地を歩くだけでもおもしろい。青空にひるがえる洗濯物、クリスマスオーナメントを製造しているお店、ピザや揚げ物の店など。
ただ、結構危険な場所でもあるので大手の旅行会社のツアーではツアー客をスパッカ・ナポリを歩かせたり あまりしないらしい。でも私たちはプライペートツアーだからゆっくりと、この下町のナポリらしい雰囲気 を楽しめる。みなさん天使がお好きだろうからと、クリスマスオーナメントの飾り物を扱う店が沢山並ぶ通りへその子さんに案内してもらう。大小さまざまな天使が宙に浮いている。陶製の聖水入れも天使がモチーフのものが多い。あと赤い唐辛子そっくりの形の「神様のしっぽ」。他の人からもらってお守りにするそうです。狭い路地に一列に並ぶ店を行く時、その子さんを先頭に私達も一列に繋がらないとならない。
ナポリの人は狭い路地であろうが、平気で車を飛ばしてくる。
車に接触しないように脇に避ける時、店先に 飛び出した棚に触れそうになる。棚には、せとものの手作りの置物がところ狭しと陳列されているが、車と車がすれ違いざまには、私達の避けるスペースはなくその棚と車に挟まってしまうしかない。
その瞬間にバチャ―ン、と音をたててせとものの商品が幾つか石畳の上に落ちた。
店の太ったおばさんがスゴイ迫力で、車の運転手に怒鳴りだしたが何時までも止まらない。私達はごめんなさい。と云うと「いいのよ。悪いのは車の方なんだから。」といって運転手に猛烈に怒鳴りつけている。
運転手もそういうことは慣れっこなのか、怒鳴られても平気で車で走り去って行く。おばさんはしばらく車 を追いかけて大声で抗議しているが、車はそれでも走り去っていってしまった。狭い石造りの路地におばさんの怒鳴り声がしばらく響くが、私達日本人があんな怒り方をする時は相当な覚悟がいるものだが、こちらの人にとってはそうでもないらしい。怒っても無駄だとわかると、けろっとしているのです。
感情を剥き出しにすること、云いたいことは云うわよ、というのはこちらの習慣のようなものかな。
スパッカ・ナポリでイタリア人のバトルの洗礼を受けた後で、私達は天使のお買い物に入る。
天使の顔って、アメリカ製のものとイタリアのものとは違うのでおもしろい。イタリアのは、どこか渋い天使の顔。ヨーロッパの歴史の重みが顔に反映しているように。
スパッカ・ナポリを縦断した後、イタリア料理教室の先生宅へむかう。きのう、下から見上げたサンマルティーの修道院の近くだと聞き、わくわくしてくる。ボメロの丘にある高台の邸宅。ナポリでは地価が高く 一軒家に住める人は相当お金持ちか、昔の貴族の子孫だという。ちょうど、分りやすく説明するとナポリの 地形は静岡の熱海にようで、平地が少なく坂で、上に向って段々になっている イタリア料理を教えてくれるシニョーラ(婦人)も元貴族だそうです。
バスを降りて、下の方へ石段を降りて行く。白い家の間の細い路地をしばらく歩く。下の町が見下ろせ その向こうに海が見える。南イタリアらしく上品で閑静な住宅地に入っていく。
そこは丁度、あのサンマルテイ―ノ修道院の裏手だった。
参加の方もその辺の地区は気に入った様子。ナポリに住む地元の家庭を訪問できるのはラッキーで興味深い。
育ちのよい鼻を持つ物静かなシニョーラが玄関から出てきた。早速料理を習うが、まずはその家の景色の素晴らしさに大はしゃぎする。一番喜んでいたのはこの私だったかも。
こんな海の見える家に住むのが夢なんだ!
あるチャネラーが、ナポリにはヒーリングウォーターがありますよ。と云っておられましたが、私はその時 頭の中にナポリの海が浮かんできた。その家はそのヒーリングウォーターならぬヒーリングオーシャン、ナポリ湾が一望できる、気持ちのいい風が吹き抜ける、素敵な家でした。
その日のメニューはレモンのスパゲティーとナスのチーズはさみ焼き。ナスを薄く横にスライスしチーズを ちらしトマトソースをかけオーブンで焼く。簡単だけどあっさりしていておいしそう。
家の庭にレモンの木があり、取りたてのレモンの皮をすってホワイトソースに混ぜるもの。食べるとレモンの香りがほんのり甘酸っぱく香り、このお宅の庭に吹く風と空気にぴったりとくる。
このお宅にはお手伝いさんのおばさんが1人いた。私たちがシニョーラのかたずけが楽なように、手が空いていると、もう使わないような菜ばしやお鍋などを洗おうとすると、その子さんが通訳をする口をすかさず、こちらに向けて「それはしないでください。お手伝いさんがやる仕事ですから、やらないで!」と注意する。大きな声で注意されても「でも、ひまだし…」とか云ってまたやろうとすると「やめてください。それをするとシニョーラがお手伝いさんになめられますから…」
ということで、みんな顔を見合わせて苦笑してやめた。
台所は2階にあるが、下の庭のテーブルで昼食を取るから色んなものを下に降ろさないといけない。
お手伝いさんが籠にミネラルウォーターのボトルや食器を、2階のテラスからひもで吊るした籠をするすると下に降ろしてくれるのを、下で受け取って庭のテーブルに持って行く。
籠で降ろせないものや出来たお料理は、手分けして運んで行く。
それぞれの取り皿に、スパゲティーとナスのオーブン焼きを分ける。
「頂きマース。」「ボナ・ペティート。」
レモンの甘酸っぱい香りがナポリにはよく似合うと思う。海から吹いてくるしめった風がやさしく頬を撫でていく。青空、白い家、ブーゲンビリアのピンク、トマトソースの赤、グラスに付いた冷たくひえたミネラルウォーターの滴たち、むこうには青い海。こんな仕合せな昼食の時…ナポリよ、ありがとう。

  食後、エスプレッソを2階の部屋で頂いた。ベランダから眺める海の景色。
私は何か思い出しそうになった。あれ?これいつか見たことがある懐かしい景色 。だけど、それはすぐに 消えていってしまう微かな感覚でした。そんなこと思い出して何になるのだろうか…
でも、思い出したい私の一部が確かにいる。その一部分の私の扱い方に窮している自分がいる。
その事もこの旅で学ぶ一つであったことを、ギリシャまで行った後きずく事になる。

  素敵な昼食の後は、メルジェリーナ港まで行き船でカプリ島に行くだけだった。だが、バスに乗る直前 になり予定変更となる。
澄子さんを初め参加の方はナポリ市内でお買い物をしたいといわれる。カプリ行きの船を1時間遅らせて ナポリ市内でショッピングタイム。
スパッカ・ナポリからバスに乗りポメロの丘に上る途中、トレド通りなどのショッピングスボットをたまたまバスが通るのをみんな窓から眺めていたからでした。
ショーウインドウにきれいに飾られた薄いグリーンの服のお店が印象的で、ぜひ、朝通ったあのお店あたりに行きたいということでした。
では、1時間のショッピングタイムを取りましょう。とバスの運転手さんもOKしてくれた。
バスは丘を下っていき、王宮前で停まった。王宮前のプレビシート広場から縦に伸びる大きな通りがビア・トレドでその通りを中心に、幾つもある小さな通りは、洋服、靴やバック、ブランド品専門店などのお店がいっぱい並んでいる。1時間しかないので、みんなまた走って行ってしまった。
わたしも1人でぶらぶらとお店を見てまわっていた。朝、バスの窓から見たお店があった。
薄いグリーンのワンピースは近くまで来て見ると、たくさんのビーズで装飾されていてとても豪華でした。 その店はこの辺では一番趣味がよさそうでした。
お店の中を覗いていると、澄子さんが戻ってきたのにばったり合った。
「このお店が一番素敵だわ。」と言って白い光沢のあるロングスカートとアメリカンスリーブのツーピース を手に取った。試着を始める。私も何だか面白そうなので澄子さんが試着するのを眺めていた。
白いツーピースは澄子さんにとてもお似合いで、そこに居たナポリッ子の若いお客さんは 「すごくすてき。似合うわ。」「これもいいわね。」と誉めると澄子さんは大きな全身が映る鏡の前でクルッと みんなの前でターンして見せていた。お客さん達も喜んで澄子さんが着替える度に付き合ってその場を盛り上げてくれた。こういう時のナポリッ子の気さくさが私は好きだ。
その時、一人の中年のイタリア女性が店に入ってきて、店員の女の子に「前に見ていった服がほしくなったから買いにきたの。」と云う。店員は首を振って「今、試着しているシニョーラが買うから残念だけどないわ。」と答えていた。澄子さんがそのお客さんのお目当ての服を着て出てきた。
そのシニョーラはとても残念そうでした。タッチの差で澄子さんは気に入った服をゲットした。
会計を済まして、カードのサインをしながら、澄子さんは買い物の最後にまた一つ楽しみを持っている。
「ねえ。私いくつだと思う?」と店員の女の子に聞くこと。
澄子さんが「OO歳よ」というと「えー!!ちょっと聞いて。こちらのシニョーラ、いくつだと思う?」
と驚いて他の常連のお客さんにも伝え、そのお客さんも「えー!!信じられないわ。若いわね。」と目をパチクリしているのを、澄子さんは目を細めて満足そうにしている。
「じゃあね。」「バーイ!」踵を返して、風のように澄子さんは次なる店へと去っていくのでした。
私は微笑ましいやら、楽しくなるやらでつい次の店にも澄子さんについて行ってみることにした。
次なる店で澄子さんは、真っ赤なノースリーブのシャツブラウスと、白いカプリパンツを買う。
その日着ていた服を、その赤と白の服に着替えて、髪もポニーテールに結い、カプリ島にむかう船に乗るのでした。桟橋で船を待つ、その姿はとってもカプリにぴったりと来ていて、みんな澄子さんのスタイルに見とれていた。
他の方たちも沢山のショッピングバッグをさげて船に乗り込んだ。ツアー参加者の中で、その日は澄子さんひとりが、すでにカプリのマダムに変身。独走状態でしたが、皆日に日にカプリのマダムへと洗練されていく。
というか、同じ夏服でも日本の夏とカプリの夏では場所も湿度が違うから、ついカプリに似合うからっとした色合いのものを身につけたくなってくるのは当然のこと。それもまた楽しい。

  1時間の水中翼船に乗るのは、その日は波があって結構しんどい。
私も途中から気持ち悪くなって、デッキまで出て外の風にあたっていた。すると白い波のむこうから島が見えはじめた。島はどんどん大きくなって近ずいてきた。
それが私達のいくカプリ島でした。
この風。この匂い。
私の胸は高鳴った。カプリ島の4泊がこのツアーの目玉なのだから。緊張した心持ちで船を降りた。
   
 
   
 
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